「現代社会はどこに向かうか」を読んだ

急速に増殖してきた人類は1970年代に減少に転じる。無限だと思われた環境資源は有限であるという事実が明らかになる。ポストモダンにおいて人々の価値観がどう変わっているのか、そして曲がり角をむかえた人類はどのような未来に向かっていくのか。などがデータとともに述べられいる。

地球とグローバル・システムの「結果有限だと分かってしまう」事を球に例える。

球は不思議な幾何学である。無限であり、有限である。球面はどこまで行っても際限はないが、それでもひとつの「閉域」である。

第二章では、若者の価値観の変化についてデータを元に述べている。各国のデータは若者が物質的な豊さではなく精神的・肉体的な豊さを重要視するようになっていることが分かる。(大量にアンケート結果が載っているのだが、マイノリティ側の意見も載せて欲しかった)

所有とはなにか、サルトルがいう所有は我々の一般的な認識の所有から所有を解き放っている。例えば、「滑走に夜雪原の所有」

第四章、合理化とリアリティについて。「未来」が約束されているのであれば「合理化」によって何かを捨てたとしても問題ない。そうしてひたすらに合理化を進めていった結果、人類は一つのピークに到達してしまった。未来のための現在=目的のための手段が機能しなくなった現代で、人々はどうリアリティを獲得していくのか。

第六章のこの文章でなぜか涙が出てしまった。物質的な豊な社会の内部で飢えていることのエピソードである

冬の郊外の駅前の夜の屋台で、仲の良かった友人と一緒に熱いラーメンを啜っていた時今ここで死んでしまってもいいという幸福感に充ちあふれていることを意識していた。その幸福が好きな人と一緒にいるということから来るのか、熱いラーメンの方から来るのか、どちらかは分からなかったが、少なくともこの二つが両方そろえば、それ以上の物は、自分には何もいらないなと感じていた。

物質から精神へ、また有限から次の無限へどう到達するのか

転回の基軸となるのは、幸福感受性の奪還である。再生である。完成と欲望の開放である。存在する物の輝きと、存在することの祝福に対する感動能力の開放である。

補章 卵を内側から破る

positive, diverse, consummatoryを大事にし、新しい胚芽をつくる、その連鎖反応に期待する。